あの方は、月曜に生まれて、金曜には病に伏せたそうです。
日曜には、もう土の下にいた。
— それで、お話は終わってしまうのよ。
オールドレディは、揺り椅子に座る、白い肌に黒い瞳の老婆の姿で収容されている。 色褪せた青いスカートと紫のブラウス、白いボンネット。動かないが、見ている。 彼女は 施設で最も孤独なアブノーマリティであると、カウンセリング記録には記されている。
かつて彼女が語った数えきれない物語は、人々を魅了したという。 だが時が経つうちに、その物語には呪いが染み込んだ。 彼女が今も話し続けている相手は、もうここにはいない誰かか、あるいは 自分自身なのかもしれない。
あの方は、土曜に死んでしまわれた。
日曜には、土の中。
……それで、おしまい。
――次のお話を、聞いてくださる?
オールドレディは 愛着(Attachment)作業を最も好む。 誰かの隣で、ただ穏やかに時間を過ごすこと。それが彼女の魂を満たす唯一の触れ方である。 逆に、抑制(Repression)作業は最低相性。距離を取られることが、彼女の沈黙を呪いに変える。
| 作業傾向 | 適性 | Lv.1 | Lv.3 | Lv.5 |
|---|---|---|---|---|
| 本能 / Instinct | 普通 | 45% | 40% | 40% |
| 洞察 / Insight | 普通 | 45% | 50% | 50% |
| 愛着 / Attachment | 良好 | 65% | 60% | 60% |
| 抑制 / Repression | 低い | 30% | 30% | 30% |
オールドレディのカウンターは、彼女自身の作業では削れない。 削るのは、他のアブノーマリティへの作業完了。 他者に向けられた一回ごとの注意は、彼女から1ずつ "聞き手" を奪っていく。 逆に彼女との作業を Good / Normal で締めるたび、カウンターは1回復する。
オールドレディは 収容室から出ない。代わりに、部屋の中に "孤独"(Solitude)が満ちる。 カウンターが0に到達した瞬間、彼女の周りの空気そのものが変質し、 踏み込んだ職員はその時点から 命令を受け付けなくなる。
孤独に呑まれた職員は 30 秒間、一切の指示が通らない。 その間、5 秒ごとに WHITE 5 ダメージ — 累計 30 ダメージを精神に受け続ける。 "孤独状態" でも作業として扱われるため、暴走発生中の他作業ゲージは進む。 逃げ場ではない。罰でもない。ただ、一緒にいる時間が請求されているだけ。
愛着(Attachment)作業の成功率が高い職員。同時に WHITE 耐性スーツを装備していると望ましい。 賢明(Prudence)が育っている職員ほど "孤独" 発動時の事故リスクが下がる。 Lv.1 から専任を続けてもらう "古参枠" として最適。
オールドレディの収容記録に添えられたフレーバーには、童謡 Solomon Grundy を想起させる一節がある — 曜日ごとに生まれ、洗礼され、結婚し、病に伏し、そして埋葬される、という一週間で完結する一生を歌う、 英語圏のナーサリーライム。彼女の語る "誰かの物語" は、聞き手を必要とせず、それでも止まらない。
Project Moon の作中で繰り返される問い — 「物語は、聞き手がいなくなってもなお続くのか」 — の最初の答えとして、彼女は揺り椅子に座っている。 部屋に踏み込んだ職員は、その問いに 30 秒だけ巻き込まれる。