Phase 1 — 助けた直後白い救世主
乙女は暗闇で目覚め、混乱しながら手をのばした。鋭いトゲがあらゆる方向から伸び、すぐ下では燃えるような酸が泡立っていた。いったいどんな悪夢が彼女をここに連れてきたのか?
すると遠くになにかが光った。それは輝くように明るく、どんどん近づいてくる。トゲの間をぬうように動き、泡立つ水を飛び越え、乙女のほうにやってきた。
彼女は近くにきたその姿を確認した。輝くように白く鋭い角。それは美しかった。手が差し出され、彼女は抱き寄せられた。強く、しっかりと…
Phase 2 — 時間経過後闇の中の白い救世主
悪夢が乙女を悩ませていた。彼女の救世主は下におりてその姿を消し、彼女の友は扉を叩く冷たい風だけとなった。彼女の心は悲しみに打ち震えた。
しかし突如として、彼女は落ち着きを取り戻した。なぜ?存在を感じたからだ。すぐうしろに。彼女は振り向かなかった。あえて動かなかった。少しでも動けば、魔法がとけてしまう気がしたからだ。彼女にはその存在の正体がわかっていた。この落ち着きをもたらせる者は、ほかに考えられなかったからだ。
彼女の白い救世主であり、今では守護者となったその者が、すぐ横に立っていた。力強く、非の打ちどころのない姿で…
Phase 3 — さらに時間経過後白い救世主の帰還
かれらは長い間離れ離れとなり、暖かさに満ちていた町も、すっかり冷え切った。乙女は悲しみの海に沈みこみ、それは彼女の孤独な身体をつつみこんだ。
すると突然、まるで彼女の悲哀を感じ取ったかのように、救世主が戻ってきた。りりしく、輝くように。ふたつの角の下には黒い眼がふたつ。それは乙女がずっと思い焦がれていた眼だった。
救世主は身体をよせ、隣に座った。完璧なまでに落ち着いた様子で。その息も止まるような瞬間に、言葉は必要なかった。乙女は突如として自分の身体が固くなるのを感じ、その爪は丸まった。視線が合わされることはなく、手が触れることもない。ただ完璧で、痛いまでの愛が沈黙の中で共有された…
Phase 4 — ゾートと会話中灰色の王子
戦いの疲労により息を荒くしながら、その者は井戸より出てきた。彼は勝利したのだ。その証明として、彼は打ち倒した者の頭部を戦利品として持っていた。
彼は町の者に驚くべき警告をもたらした。白い救世主は、実は獰猛な怪物であり、この灰色の王子こそが真の英雄なのだと。そしてそれは真実の音色をもって皆の耳にひびいた。
誇りと謙虚さとともに、彼は下で遭遇した出来事について話した。それは彼女を見つけ出し、守るための、壮大な冒険だった。彼の灰色の乙女。暗闇の中の彼の連れ合い…
Phase 5 — ブレッタ失踪後(残された手記)乙女の旅
灰色の王子は消え、白い救世主は獣としての姿をあらわし、乙女はついに真実を理解した。彼女が生をともにする相手は、待っていても現れない。彼女はその愛する相手を自ら探し出し、互いを孤独という束縛から開放してやらねばならぬのだと。
かくして彼女の旅は始まった。愛にみちびかれ、愛に守られ、危険な土地へと。一歩進むごとに、乙女は感じるのだった。運命の出会いが、少しずつ近づいていることを。
手記Phase 5「乙女の旅」は失踪の理由を一人称で語っており、ブレッタが受け身から能動的に変わったことを示している。老いたムシも「冒険への呼び声に無反応なのはわしだけかもしれないな!」と驚いている。